bless you

運転席のトモキがくしゃみをしたので、助手席のハルコは到着してから食べようと思っていたジャムパンを袋から取り出した。
何故だろう？

友紀のくしゃみのせいで、ジョン西山の女性のタイプが麻婆豆腐を美味しく作る人なのか美味しく食べる人なのかよく聴き取れなかった。
「花粉症？」
「そうなんだ。さっきまで落ち着いてたのにな。ありがとう」
友紀は春子が差し出したティッシュを左手で受け取った。ハンドルを握りながら器用に鼻をかんでいる。
「きつかったら運転代わるよ」
「大丈夫、花粉症とは何年も付き合っ……っ」
また大きなくしゃみ。彼は手の中で丸めていたティッシュでそれを受け止めた。
「あーあ、ティッシュここに置いとくから使ってよ」
「かたじけない」
「あ、ゴミ入れるとこなかったね」
春子はさきほどコンビニで買ったジャムパンを袋から取り出して、空になったレジ袋をドリンクホルダーに引っ掛けた。
「ゴミ、ここに入れてね」
「ありがと……っ……っ」