転載元: 「【蛇ますか?リサイクル】仲間に避けられたとさ」 作者: 桂埜 (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/10176
だって寒いんだもん!
(寒そうにしていたら、ママ友が気の毒がって上着を貸してくれたから、まあ仕方なく。)
以下、蛇足の補足。
まだコートを着るにはちょっと早い晩秋の頃、女は仕事帰りに娘の小学校に寄り、PTAの会議に参加した。
朝出かける時はかなり暖かかったので薄着で出かけたのだが、日が落ちてから急に気温が下がって寒くなった。
会議が終わって帰る時には、大げさでなく、歯の根も合わない有り様だった。
『こんなことなら厚手の上着を着ておけば良かった』と思っていると、件の苦手なママ友が声をかけてきた。
「寒そうだけど・・・大丈夫?」
「・・・あ、大丈夫大丈夫・・・」
やや顔をそむけつつ早口で答えたが、女の声は震え、ついでにクシャミも出た。
「全然大丈夫じゃないでしょ!ほら、これ着て帰って。次の会議で返してくれればいいから。」
ママ友は着ていたジャケットを脱ぎ、女の肩にかけた。
『余計なおせっかいよ!これだからこの人は・・・』とは思ったものの、今はこのぬくもりを手放し難い。
女は ぼそぼそとママ友に礼を述べ、ジャケットをしっかり着込んだ。
帰宅後、『まだ寒さを感じるのはいくらなんでもおかしい』と思ったら、38℃超えの熱が出ていた。
インフル流行の「走り」であった。