【メライクル】thunder rumbling, castles crumbling

「朝の落雷の影響で先行列車が遅れている関係で、車間調整のためこの電車はしばらく停車いたします…」

なんてことだ。あと一駅なのに。
朝一で出張仕事を終えたチェネレントラは、停車中の電車の中で焦っていた。
美魔女上司のミランダに、１２時から始まる大事な取引先とのランチミーティングまでには必ず帰社するようにと、強く言われていたからだ。

もちろんきちんと余裕を持ってスケジュールは組んでいた。
乗り換えのトレディーチ駅でゆっくり乗り換えても、十分間に合うぐらいの時間のはずだった。

しかし、この分だと、１２時に帰社するための電車に乗り換えるには、時間がギリギリになりそうだ。

普段なら、ホームの端にあるエスカレーターまで歩いて乗り換えする（その方が会社の最寄り出口にも近い）のだが、多分その時間はない。

電車のドアが開くや否や、チェネレントラは、得意のダンスで鍛えた軽やかなステップで、目の前の階段を駆け上がった。

トレディーチ駅の連絡橋、一番端のホームから反対側の端のホームまで、チェネレントラは猛ダッシュする。

よし間に合う。

景気良く階段を駆け下りるチェネレントラ。

…哀れチェネレントラは足を踏み外し、自慢のル◯タンのハイヒールが飛び散った。

残念ながら、そこに王子はいなかった。

＊チェネレントラ：シンデレラ（伊）
＊トレディーチ：１３（伊）
＊実話じゃない。実話じゃ。でもなんかやったことあるような気はしてる。
＊階段の駆け下りと駆け込み乗車、ダメ、ゼッタイ。