女には、特別な時だけ食べている好きな食べ物があった。
これを毎日好きなだけ食べる、というのが女の夢だった。
そして、ある時、その夢は叶った。
毎日それを食べ続けるのが女の日常となった。
その日常が終わる最後の日、その食べ物を目の前にして女は困惑してしまった。
その食べ物に飽きたとか、体調を崩したとかそういうことでもないのに。
なぜだろう?
*Q4 セルフリサイクルです。
*微要知識かもしれません。
転載元: 「【ケますか?リサイクル】where the grass is really greener」 作者: gattabianca (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/9983
*海外だと山ほどトロピカルフルーツ食べられて嬉しいけど、最終日にもらっても困る。(持ち帰れないから。)
次の任地が南国だと聞いて、御影は胸が躍った。
ヴィンテージを買い漁れるヨーロッパも良かったが、なんと言っても今度は食べ物が楽しみだ。
辛いものも大好きだが、それと同じぐらい、いや、それ以上に好きなのがトロピカルフルーツだ。
日本では、なかなか手に入りにくく、あっても高価なことが多いので、特別な時にしか食べられなかったのだ。
マンゴー、パパイヤ、マンゴスティン、ランブータン、ドラゴンフルーツ…日本ではなかなか手に入らない、濃厚な甘さのシュガーアップル(アティス)や、爽やかなソムオー(ポメロ)。
御影がフルーツ好きだというのが知れ渡っているのか、出張で行く先々で出されるし、カウンターパートも、メイドさんも、近所の人もみんな持ってきてくれる。
しかし、そんな天国のような日々も最終日を迎える。
帰国の準備をしていると、玄関のベルが鳴る。
そこには、お世話になった人たちが、山ほどのフルーツを手に待っていた。
「ミカゲ、これまでありがとう!フルーツ大好きでしょ!私たちの気持ちだよ!!」
その温かい心遣いに涙が溢れた御影は、もちろんありがたく受け取った。
受け取った…のは良いが…どうしようこれ。
持って帰るのは、検疫的にものすごくめんどくさいことになる。
上司が空港で止められてトラブっていたのを、目にしたことがあるから、余計そう思う。
しかし、みんなの善意を思うと、捨てて帰るなんてことは到底できない。
空港へのピックアップが来るまであと2時間。必死で食べるしかない。
…文字通りlast minuteまで、キッチンで立ったままベタベタになりながら必死でフルーツを食べ続けた御影であった。
*100%実話です。帰国前日にパイナップル1個、当日にマンゴー5個渡されたことがあります。