【ケますか？リサイクル】so innocent, infinite

男はハゲで悩んでいた。
しかし、男はまだ１０代。
悩んでいたのは、十円ハゲ、いわゆる円形脱毛症だ。
その原因はストレスだろうか。

しかし、繊細な思春期の男は、そんなことを周りに相談できない。

そんなある日、男は洗面所の戸棚の奥にあるものを見つける。
それは、父親が密かに使っている育毛剤。
何かの足しになればと、男はこっそり使い始めた。

男が毎日毎日、ルーティーンのように育毛剤を使い始めてから、１週間、２週間、４週間が過ぎた。
当たり前だが、十円ハゲは一向に改善されない。

それなのに、

「頭の上にケが！？」

そう、事もあろうに、ふさふさで何一つ困っていない頭頂部にだけ毛が生えてきてしまったのである。

「お前、何人の育毛剤勝手に使ってるんだ！これはそんな目的で使うものじゃないんだ！高かったんだぞ！なぜお前の頭頂部に…だけ…お前の…何一つ困ってない…頭に…」

父親の恫喝は、やがて嗚咽に変わっていった。