(問題文が眩しくて見えない)
何故?
*Q1 ノーキンさんのリサイクルです。
転載元: 「【輝きますか?リサイクル】I'm lost in the lights」 作者: gattabianca (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/9770
*先生が教室の窓側のカーテンを閉めてくれないから。
梅雨も開け、夏の日差しが強くなった7月。
水平台学園の生徒たちは、期末試験に向けて4時間目の化学の授業を熱心に聞いていた。
(うーん…反射が眩しくて読めないなあ…)
拓海は、先生がホワイトボードに書いている問題文を書き写そうとしたが、反射して読めない。
「せーんせーー!!ホワイトボードが光っちゃって、眩しくて読めないんですが!!
カーテン閉めてくれませんか?」
そう元気よく声をあげたのは、拓海の隣の席に座っている、拓海の彼女、向日夢花だ。
「あーごめんごめん。これで読めるかな?」
「はーいっ!ありがとうございまーす!!」
その授業の後の昼休み。夢花と拓海はいつも通り他愛ない話をして盛り上がっていた。
ホワイトボードを見る必要もないので、カーテンは再び開けられていた。
夢花の二つ前の席の夙川舞桜は、ふと夢花の席の近くで立ち止まった。
日直がサボっているのか、化学の問題は消されていない。
ホワイトボードは反射することもなく、問題ははっきりと読めた。はっきりと。
「夢花、ああいう読めない時はっきり言えるよなあ」
「別に、私ははっきり読めたよ」
「え?」
「隣の席だけど、ちょっとの角度でだいぶ違うんじゃん。拓海、読みにくそうにしてたから、光ってんのかなーと思って」
「あ、ありがとう…」
「拓海のことならみてれ大体わかるって。わかりやすいもん。それに、どーせ拓海のことだから自分じゃ手挙げられないんだろうと思って。代わりに言ってあげた。褒めて」
「…いや、余計なお世話だし。自分で言おうと思ってたとこだから」
「はいはい。そーゆーことにしとく」
…別に、太陽が眩しいのなんてどうでもいい。太陽なんて。
そう思いながら、舞桜はそっと教室を出て行った。