ある女がとあるレストランで、「私のオーダー通ってる?」と店員に尋ねた。店員は「もちろんです」と答えたが、その後運ばれてきたのは全く別の料理だった。にも関わらず、女は満足そうだった。なぜ?
*Q9 メラさんのリサイクルです。
転載元: 「【通りますか?リサイクル】I could still say, "I don't remember"」 作者: gattabianca (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/9663
かつて女が遭難時に飲んだ「ウミガメのスープ」と同じウミガメのスープを出してくれる店に、やっと巡り会えたから。
かつて女は遭難したことがある。
その時飲んだ「ウミガメのスープ」とやらがとても美味しくて、命をつなぐことができた。
それからしばらく経って、ウミガメのスープをメニューに置いてあるレストランで、ウミガメのスープを頼んだ。
でも、味は全く違っていた。味付けとかそういう話じゃなくて。
あー、そうか。そーゆーことね。
人か。
いや?死なないよ?その程度で。この私が。
大体、そこまでして救ってもらった命なのに、粗末にできないじゃん。
…なーんていうのは建前で、本当は、もう一回あのスープが飲みたくて仕方ないからなんだけどさ。
そう思っていた女は、ウミガメのスープがメニューにある店があると聞く度にその店に行っては、ウミガメのスープを頼んだ。
でも、それは全部本物のウミガメのスープだった。
そんなある日、あの「ウミガメのスープ」を出す店があると噂を聞いた。
おかしいな。
前に行った時は普通のウミガメのスープが出てきた店だったのに。
女は不審に思ったが、なんでもオーダー後しばらく待って、オーダーが通ってるか尋ねると、あっちの方の「ウミガメのスープ」が出てくるらしい。
「ウミガメのスープください」
普通にオーダーした女は、しばらく経ってから店員に尋ねた。
「私のオーダー通ってる?」
「もちろんです」
その後出てきたものは、ウミガメのスープなんかじゃない。
あの、「ウミガメのスープ」だ。
ああ、これだよ。これ。
これが飲みたかったんだ。
「いかがでしたか。お客様。」
帰りがけ、シェフが恭しく挨拶にきた。
「ええ、とても美味しかったです。ありがとう。特にスープが絶品でした。贔屓にさせていただきますね。」
女は魅惑的なウィンクで答えた。