カメオは旅の医者だ。連れのウミコと世界中を渡り歩き、何百もの怪我人や病人を治してきた。
しかしその活動はカメオに大きな負担を与えた。
日を追うごとに体力は衰え、身体もあちこちが痛み始める。頬は痩せこけ、旅を始めたころの活力は失われていた。
ウミコはそんなカメオの変化が嬉しくてしょうがない。
何故?
転載元: 「共に生きていく」 作者: 生姜蜂蜜漬け (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/965
カメオは医者だ。暇だったので資格を取った。
カメオは長生きだ。今年で1011歳になる。あと2000年は生きるらしい。
カメオは化け物だ。指先から放つ光は山を消し飛ばし、海原を嵐の如く駆けまわる。
そんなカメオが恋をした。相手は、か弱い人間のウミコ。
愛し合い、共に生きたいと願っても、寿命の差が邪魔をする。
だからカメオは、「寿命を削る」ことにした。
2000年分の寿命を、怪我や病気で苦しむ人に分け与え、人間になるまで減らすのだ。
二人は共に旅をする。日を追うごとに、カメオは弱くなっていく。
海原を駆けた脚は、一日歩くだけで疲れ果てて、掌の光は、ウミコの手をそっと温めるだけ。
その変化が、二人にはたまらなく愛おしい。
旅の終わりまであと少し。もうすぐ、二人は共に天国に逝ける。