記念日に入籍した二人だが、提出した婚姻届が後日郵送されてきた。
何故か?
転載元: 「送られた婚姻届」 作者: NELL (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/9648
俺たちの出会いは突然だった。
どうにも彼女ができなくて、縁結びの神社へ初詣に行った俺と、そこにいた巫女さんの彼女。
俺たちにとって、1月1日は忘れられない記念日だ。
そんな二人で婚姻届を、正月休みの役所で提出する。本来の窓口は空いていないから、当直のおじさんに受け取ってもらった。
三が日が過ぎた頃だろうか。突然、役所から郵便が来た。中に入っていたのは、提出したはずの婚姻届と、添書だった。
二人で添書に書かれていることを確認する。
「証人欄にご結婚されるお二人のお名前、生年月日、ご住所、本籍が書いてありました。証人欄を書く人は、届出人であるお二人以外の方でなければなりません。したがって、いただいたお届は証人欄不備となり不受理になりますので、お返しさせていただきます。なお、改めてお届けいただくまで、婚姻関係は成立しておりません。ご了承ください。」
「えっ…!?」俺たちは驚愕した。
「俺たちが結婚するんだから、てっきり証人になるのも俺たちだと思って…」
「この届、書き直して持っていったら受理されないかな?」と、彼女が言った。俺たちは証人欄を両親に書き直してもらい、平日の役所へ駆け込んだ。
「すみません!1月1日に出した届が戻ってきたんですけど、書き直したので受理し直してほしいです!」
「申し訳ありませんが、お返しした届書を再度利用することはできません…」
「そんな…!!」
「今からできることは、新しく届を書き直して、再提出していただくことです。恐れ入りますが、届出日は届を提出した日になりますので、改めて提出した届の日付を遡って1月1日にすることはできません。」
何度もお電話差し上げておりまして、この件についてお伝えしたかったのですが…と、役所の人が申し訳なさそうに言った。
そういえば最近、知らない番号から電話がかかっていたのを無視していた。ちゃんと番号を検索して確認すればよかった…と、俺は項垂れた。
〇 ポイント 〇
・届書の不備には、軽微なものと法的に受理できないものがある。
・署名欄に両届出人の署名がない場合と、証人欄に適切な人間が書かれていない・もしくは二人分の署名がない場合は、法的に受理できない不備となる。
・通常、受け取った届書を返却することはできない。
・平日窓口に来ていれば、職員が気づきその場で返却するため届書を使い回すことができるが、今回は休日に提出したため不備を確認できる職員がいないまま、一旦は役所が受け取った形になってしまった。
・役所は返却する理由を明確にするために、届書に不受理であることを記載した用紙を貼り付け、捺印し、再提出できない形で届出人に返却する必要があった。
参照:戸籍法第33条、民法第739条2項