【怪談】叫び声と笑い声

カメミは、最近引っ越してきたアパートで騒音に悩まされていた。
毎日ではないのだが、夜になると別の部屋から
ヒタヒタ　ガン　ギャーー　ドタドタ
と音、特に叫び声がうるさいのである。

自分たちとは違う、人ではないものが原因と考えたカメミは、
霊感があると言われていたレイコさんに相談した。
相談を受けたレイコさんは、部屋の様子を見ることにした。

夜。
ヒタヒタ　ガン　ギャーー　ドタドタ
その音が鳴った時、レイコさんは突然笑い出した。

レイコさんは落ち着いた後、
あの音の原因は、カメミの引っ越した理由から起こっている、と説明した。
カメミもそれに納得し、原因を解消するようにしたところ、
悩ませていた騒音が聞こえてこなくなった。

音の原因が、カメミの引っ越しとはどういうことだろうか？

カメミは、もうほとんど趣味である衣類の購入で増えた衣類が
収納に納まりきらないため、収納の大きなアパートに引っ越した。
ただ引っ越したばかりで、まだ持ってきたタンスに衣類をいれたまま、
タンス自体も本来置かない位置に一旦置いてあった。

部屋を見て、音が聞こえてきた時、レイコさんは気づいた。
タンスの位置が、霊道（霊の通り道）に少しだけ重なっている事に。
ガン　ギャー　ドタドタ
レイコさんは、見てしまった。
タンスの角に足の小指をぶつけて、叫び転げまわり、スッと消えていく霊を。
レイコ「アッハハハ霊がクククタンスにヒヒヒ小指を」

レイコ「タンスの場所、ちゃんと片付ければ大丈夫よ」
カメミ「ほんとー。ありがとうー」

ヒタヒタ
ヒタヒタ
ヒタヒタ
カメミ「叫び声も大きな音も聞こえなくなったし、収納の割に安く住めてるし最高」

FA:
衣類の収納目的で引っ越したカメミ。
まだ片していない衣類の入ったタンスが、霊道に重なっており、
そこを通った霊がタンスの角に小指をぶつけて、叫んでいた。

＜いつものだそく＞
「自分たちとは違う、人ではないもの」が原因と考えたカメミ…
⇒異類が原因
⇒衣類が原因
…ということでカメミの予想は二つの意味で大正解でした。