「なんとかこの桜を生かしてやってくれ。」
そういわれたカメオは、その桜をバッサバッサと切り落としていった。
何故?
桜ますか?のセルフオマージュ……というより、
問題文投稿時に考えていた状況の出題です。
転載元: 「【いまさら桜ますか?原題】ある桜の余生」 作者: 彩雲 (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/9557
答え:軽くするため
その他条件:それが、その桜を移植するために必要な事である事も明らかにしてある。
戦後復興期の真っただ中、ひっ迫する電力需要を賄うため、巨大ダムの建設計画が公表された。
住民は反対したが、真摯な話し合いの末、住民との合意がなされ、ダム建設は開始された。
ダムを建設し、そのために自ら話し合いを行った、電源開発総裁は、
沈みゆく集落を最期に見て回る事にした。
その時、寺の境内に見かけたのが、樹齢400年は下らない、桜の巨木だった。
総裁は、立派な桜の樹に、その村の人々の暮らしを見た気がした。
この樹が、青い湖底に寂しく揺らめくさまを想像した総裁は、桜を助ける事を決意。
桜研究家(今回のカメオ)に依頼し、巨木の移植を行う事にした。
桜というものは、元々傷に弱いため、出来る限り伐るような事はしないほうがいいのだが、
巨大な桜をそっくりそのまま移動されることは物理的に不可能だった。
仕方なしに、その桜の根や枝をバッサバッサと切り落としていった。
ほとんど幹だけになり、ミイラのように荒縄で養生された痛々しい姿は、
方々からの非難を呼ぶ事にもなったが、
結果として、老桜の移植には成功。櫻は新たな枝を伸ばし、桜を咲かせるようになった。
ふるさとは 湖底(みなそこ)となりつ 移し来し
この老桜 咲けとこしへに
ダム湖に沈んだ集落の最後の生き残りは、今も湖畔に活きている。
参考文献 : 荘川桜