愛娘カメコの応援を糧にして、今日も戦い続けるボクサーカメオ。
四年に一度の大舞台である『Cindy杯』に出場した彼は、強力なパンチと軽快なフットワークを武器に、見事決勝へと進出した。
決勝戦の相手は、今まさに前代未聞の『Cindy杯』三連覇に王手をかけている名ボクサーウミオ。
ウミオとの実力差を感じたカメオは、少しでも多くの勇姿をカメコに見せたい一心で、彼に八百長試合を申し込んでしまった。
そして迎えた決勝戦、二人の八百長試合はプロの解説でさえも気づかないレベルで巧妙に行われた。
しかしその後、カメオはカメコから八百長試合をしたのではないかと疑われてしまう。
一体なぜだろうか?
転載元: 「私愛の真贋」 作者: ぺてー (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/9471
A. カメコの手術費用をどのようにして捻出したのかについての言い訳は巧妙でなかったため。
ここ最近急激に実力を伸ばし、破竹の勢いでいくつもの大会を優勝してきたカメオ。
彼がこんなにも強くなったのは、愛娘カメコのために他ならない。
四年前、カメコは重い心臓の病気を患ってしまい、心臓移植を行わなければ長くは生きられない状態になってしまった。
心臓移植の手術費を稼ぐため死ぬ気で修練を積んだカメオは、現役最強のボクサーの座へと上り詰め、あと一億で手術費を捻出できるというところまできていた。
次の大会は四年に一度の大舞台である『Cindy杯』であり、五千万もの優勝賞金が用意されていた。
『Cindy杯』に出場したカメオは、娘のためにも絶対に負けられないと奮闘し、見事決勝へと進出した。
決勝戦の相手は、今まさに前代未聞の三連覇に王手をかけている名ボクサーウミオ。
しかし、今のカメオにしてみればウミオはもはや格下の相手であり、順当にいけば勝てる勝負であった。
そのとき、カメオの脳裏にふとある考えがよぎった。
功名心が強いウミオは、『Cindy杯』三連覇という輝かしい記録を強く欲しているはずだ。
同じくボクシングの道を極めている彼もまた、俺の方が強いことは痛いほどわかっているだろう。
この状況で彼に八百長試合を持ちかければ、一億が手に入るのではないか。
ウミオはこれまでに数々の大会で優勝しているのだから、大金を持っているはずだ。
彼にとっては、差し引き五千万で大記録が買えるのであれば安いものだろう。
ここで優勝したとて、俺が残りの五千万を稼いでくるまでカメコの身体が持つ保証などどこにもないのだ。
カメオ(俺は…カメコに長生きしてほしい。少しでも多く俺の試合を見てほしい。)
カメオの申し込みはウミオに受け入れられ、決勝戦では巧妙な八百長試合が行われた。
試合に敗北し、一億を手にして帰宅したカメオは、ようやく手術ができるとカメコに伝えた。
カメコは大喜びしたが、ふとあることが気になった。
カメコ「ねえ、手術のお金はどうしたの?負けちゃったから賞金もらえてないよね?」
カメオ「ん?…ああ、実はこの前買った宝くじが当たったんだ!試合の帰り道に確認したら、まさかの一等でびっくりしたよ。」
子供というのは、大人が思うよりも賢いものである。
カメコは、カメオが嘘をついていることに気づいてしまった。
そして、その先にある真相にも。
カメコ「えええええ!すごい!!」
カメコは父に似つかず上手な嘘をつくと、『Cindy杯』で父の勇姿が見られなかった悔しさをそっと胸の内にしまうのであった。