ねがいましては、820197635円なり、30529416828419円なり、4073861円なり、ひいては286410374円~
金夫は自らの完勝を確信した。一体どうして?
*Q11 kUmaさんのリサイクルです。
転載元: 「【願いますか?リサイクル】Sábado noche 1980」 作者: gattabianca (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/9359
*あいつは数字を読み上げるのが苦手だから、アナウンスの仕事に採用されるのは俺。
アナウンサーの最終選考に残った俺たち二人。
最後の試験は実技だ。
アナウンサーたるもの、どんな原稿が渡されても、即座にスラスラと読めなければいけない。
実技試験では、時にとんでもない原稿が渡されることもある。
「マサチューセッツ工科大学で老若男女の骨粗しょう症の出術中、高架橋橋脚下で除雪作業中に過失致死傷を起こした…」
と言ったただの言いにくい言葉の羅列だったこともあるし、いきなり英語の原稿だったこともある。
今回一緒に最終選考に残っているあいつは、滑舌の良さはアナウンス部一だし、帰国子女なので英語もペラペラだ。
そんな原稿が渡されたら俺に勝ち目はない。
「ねがいましては、820197635円なり、…」
渡された原稿を見て、なんだこれ?読み上げ算か?と思ったが、あいつの顔はさらに青ざめている。
そう、あいつは数字が苦手で、数字が登場するだけで原稿読みが一瞬ストップしてしまうほど苦手意識を持っている。
小さな桁の数なら、練習で克服したようだが、流石にこの数字には慄いている。
俺は自分の勝利を確信した。