転載元: 「【道ますか?リサイクル】小悪党」 作者: ねじ (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/9275
カメオは見てしまった。
クラスで一番の秀才でスポーツも万能でイケメンで陽キャのクラスメイトが、よりによってカメオが密かに想いを寄せていた女の子と一緒に街を歩いているところを。
カメオはショックで目の前が真っ暗になった。
無意識に物陰に隠れ、こっそり様子を伺っていたカメオは、クラスメイトの財布が地面に落ちたのに気がついた。
そのまま拾いもせず、歩を進める2人。
「デートなのに財布がなければ、さぞアイツは困るだろうな・・・」
カメオは財布に近づき、ゆっくり拾い上げた。
ちょっと走れば彼らに追いつくだろう。
だが・・・
カメオはしばし考えた。
財布を拾って届けた程度で、カメオは「株を上げる」ことができるだろうか?
否、そんなのは当然の行いだ。
メリットなんかない。
元々心優しいカメオであったが、生まれて初めてどす黒い感情を知った。
「リア充め、せいぜい困ればいい。俺は当然のことしかしないぞ。」
カメオは踵を返し、その場から1キロくらい離れた交番に財布を届けに向かったのであった。