: 「おい見たか、これ」
「ああ、最近SNSでバズってるフードだろ」
「まずいな」
「美味いらしいぞ」
「いや、そういうこと言ってんじゃない。やばいだろ。っていうかお前食ったんじゃねえだろうな」
「さすがに食ってはないよ。そんなこと世間に知れたら大問題だし、振り落とされたりして事故とか起きそうだ。ただのネットの受け売りだって」
「しかし、この間チェックしに行ったけど、思ったより数少なく感じた…気のせいかな?まさかな?」
「いや、流石に…」
「見張りでも立てるしかないか」
「しかし、見張りって言ってもあんまり手荒なことはしたくないよな」
「ああ、イメージってものがあるし」
「でも万が一実害が出たら、それはそれで本当に死活問題だ」
「とりあえず今は絶対実害は出せない。
強調月間ってことで、外部からの侵入者がないか気を付けよう」
さて、二人は何を見張るというのだろう?
*某ユーザーさんの発言から生まれた問題です。
「あれだ!」と気付いた方はお口チャックでお願いいたします。
転載元: 「enséñame los dientes, dientes」 作者: gattabianca (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/9207
*トナカイ
Santa Claus Inc.の仲の良い同僚、ジョージとジャスティンは、由々しき事態に頭を悩ませていた。
「しかしなんだよこのトナカイバーガーって。」
「インスタでバズったんだって。しかし、そのせいでトナカイ肉が高騰してるらしい。それで、うちのトナカイが狙われてる。確かに何頭かいなくなったのは事実らしい。普通に逃げたんだと思ってたけど、密猟者がいるとかいう説がうっすら」
「まじか」
「あと1か月乗り切らないととにかくやばい。見張りに行けって上のお達しだ」
「さすがに天下のサンタクロースが銃器っていうのはまずいっていうことだけど、最悪このトナカイ用の麻酔銃で撃っていい、ってことだ」
「しかし、いくら麻酔銃でも人なんて撃っていいのか…」
「待て、あれ、侵入者じゃねえか」
「おい、どうする。」
動揺するジョージとジャスティン。
そのとき、連れてきていた見習いサンタの一人が麻酔銃を手に取り、侵入者に向けて引き金を引いた。
麻酔弾はすれすれのところで、侵入者たちをかすめていく、
慌てて逃げる侵入者たち。
ジョージとジャスティンが振り向くと、そこには、まだ採用して1年にも満たない、若い女性のサンタが麻酔銃を持って立っていた。
「えーっと、誰…?」
「えと、ル、ルキって言います。あ、あの、私、お父さんが射撃の選手をしていて、それで私も…」
「そうか、すごいな。この職場は、なんでもできたらプラスになるんだ。どんな能力も技能も、無駄にはしない。」
「ああ、麻酔銃が撃てるサンタも必要だよな。」
「あ、あの、それで…勝手なこと言いますけど…」
「ん?」
「こんな山まで入ってきて、密猟やるような人たちは、生活に困ってるんだと思います。だから、そういう人たちにこそ、プレゼントを届けて、幸せになってもらうことが、私たちサンタのすべきことではないでしょうか」
「…なるほど」
「あ、すみません。勝手なこと言ってしまって。私…」
「いや、ルキちゃん、君は本当に他人の幸せを祈ってるんだね。サンタ向いてるよ。ありがとう。上にも伝えとくよ」
*百人一首 その八十三【よのなかよ みちこそなけれ おもひいる やまのおくにも しかぞなくなる】からのinspireです。