【いただきますか？リサイクル】when you see them racks

〜ファッショニスタカメコのセレクトショップ『Chatte Blanche』にて〜

「ここからここまで全部いただくわ」

「大変申し訳ございませんが、お売りすることはできません。」
「な、なんでよ！？」

「そちらのシャネルとディオールは３４号、他も大半が３６号です。失礼ですが、４０号のお客様には少し難しいかと。」
「ほんとに失礼ね？合わなかったら直すか、娘にあげればいいと思ってたのよ！」

「そちらのヴィヴィアンはアシンメトリーのアバンギャルドなデザインとなっております。今日のスタイルを拝見する限り、お客様は極めてコンサバなテイストかとお見受けいたしますのですが、それも承知の上でのお買い求めですか？」
「あ、あら本当ね…たまにはこういうのもいいかと思って！だ、だってファッションには冒険も必要でしょ？」

「…確かにそうではありますね。ですが、そちらのプラダとドルチェ&ガッバーナとフェンディは素材やシルエット感が似ていて、どれを買おうか悩まれたお客様も多かったアイテムですが、全てお買い上げということでよろしいですか？」
「え、ええ。それがおしゃれというものじゃない？」

「…そちらのラックのアイテム３８点、全部で１０秒もご覧にならずに決めておられましたね。
　率直に申し上げますが、転売目的が疑われますので、お引き取り願えますでしょうか。
　最近、当店で購入されたと思われた商品が多数、かなりのマージンが付けられた上で、ネットで転売されているのを目撃しています。
　私は、心の底からファッションの好きな方達のために、良いものをできるだけ手に入りやすい価格でお譲りしたくて、このお店をやっております。
　ですので、転売行為は固く禁止させていただいております。そうでないというならば、申し訳ございませんが、こちらに一筆お書きください。」
「なんなのよ、それ？いいわ、もう来ない！」

「…いいんですか？カメコさん。だいぶ怒ってましたけど、あのお客さん。」
「いーの。
　まあ本当は買ったものはお客様のものなんだけど、さすがに最近目に余る人がいるから。
　…あ　ここからここまでは特に愛佳さんに似合いそうなやつだから、是非是非見てって♪
　もちろん愛佳さんなら全点ラック買いも全然OKよ。」
「あ、あはは…どうもありがとうございまぁす…」