ラテラル探偵社の皆様はじめまして。私はカメオという者です。
さっそくですが皆様のお知恵を貸していただきたい出来事がありまして……。
朝、家にいる『お手伝いロボット(AとBの二台)』へ「帰るまでに部屋の中を掃除しておくように」命令して、私は仕事へ向かったのです。【お手伝いロボ原則・第二条】により、お手伝いロボットたちはよく命令を聞いてくれますからね。
ところが、仕事を終えた夕方に家に帰ってみたらビックリ!
部屋の床にはお菓子が散らばっていて、二台のお手伝いロボットが半壊して機能停止している状態だったんです!
初めは強盗か何かが押し入ったのではないかとも思ったのですが、どこにも侵入された形跡はないし何にも盗まれていない。
それにお手伝いロボットとは言え、そう簡単に壊されないようにある程度の頑丈さと、【お手伝いロボ原則・第三条】に設定されている通りにある程度は乱暴なことに抵抗できる機能はついています。少なくとも、人間相手にそう簡単に壊されるようなロボットではないのです。
しかし、現状は二台とも半壊して部屋で転がっていた……。
一体どうしてこんな状況になったのか、さっぱりわからないのです。
お手伝いロボットたちは修理に出しますが、今後またこのような不思議な状況になあないとも限らない。
今のうちに「どうしてこんな状況になったのか?」を知って、二度とこんなことが起こらないように対策しておきたいのです。
……というわけで、皆様の推理で真相をズバリ見つけてほしいのです!お願いします!
転載元: 「ロボットの惨状」 作者: 甘木 (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/880
真実は以下の通りである。
カメオは最近売り出し中のタレント。分類は太ったことを売りにするいわゆるデブタレである。
そのカメオが撮影の仕事で家を空けている間にお手伝いロボットに部屋の掃除を命令した日の出来事である。
「掃除をするように命令」された通り、ロボAとロボBは【第二条】にそって素直に掃除をしていた。しかし、二台はカメオの部屋のベッドに近い押し入れの中に大量のお菓子が隠されているのを発見する。
ここでロボAのコンピューター頭脳は考えた。
<カメオさんはここで寝る前にお菓子をたくさん食べているのだろう。そういえば最近、限度を超えて太ったため健康面に少なからず影響が出ているようだった。お菓子をここに置いたまま今の生活を続けていたら、カメオさんの「肉体的健康面においての危険」が発生するだろう!【お手伝いロボ原則・第一条】に則り、危険を回避させなければならない!このお菓子は、しばらくカメオさんが食べないように没収し、どこかに隠しておこう!>
しかし、ロボBのコンピューター頭脳はロボAと異なる思考で結論を出し、Aの考えに反対した。
<カメオさんは社会的にデブタレントとして売り出そうとしている。ある程度の不健康よりもタレント生命を維持するためにそのまましておくべきともいえる。それに、カメオさん自身はお菓子を食べることによって精神的にもストレス発散へ繋がる。このお菓子を没収したら、それこそストレスがたまって「精神的健康における危機」が発生する恐れがある!【お手伝いロボ原則・第一条】に則り、危険を回避させなければならない!お菓子はそのままにしておくべきだ!>
ロボAとロボBの意見は真っ向からぶつかり、もめだした。
ロボAが強引にお菓子を持ち出そうとするとロボBは力づくで止め、ロボAも負けじと抵抗する。それは互いに【お手伝いロボ原則・第一条】の解釈によって絶対に譲れない最優先事項であったため、どんどん激しくなった。
そうしているうちに、ロボAとロボBは半壊して機能停止状態となり、問題文の状況になってしまったのだった。
カメオ「そうか、ロボAもロボBも私を危険から守ろうと必死になってくれていたのだな……よし、決めた!こんどからお菓子をむやみに食べたりせずにキチンと自分の健康管理にも気を付けてデブ具合を維持するぞ!自分の肉体的・精神的健康のためにも、お手伝いロボAとBに安心してもらうためにも!ラテラル探偵社の皆様、真相解明にご協力ありがとうございました!」