義足とかけて、あなたととく。
①その心は?
②なぜ義足とかけたのか?
*Q19 kUmaさんのオマージュです。
*ちょっとこちらの問題形式をセルフinspire。懐かしいね。
転載元: 「【足ますか?オマージュ】why are you my clarity?」 作者: gattabianca (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/8748
①あなたは私にとっての大事な一部で、私はあなたなしでは歩いて行くことができないから。
②「あなた」はアンドロイドの恋人・婚約者・配偶者。
・あなたは手に入らない人間(の一部)を模倣して作った代替品ではないということ。
・スポーツ義足のように生身の人間以上に卓越した能力を持った存在であること。
・私のために作られた、唯一無二の存在であること。
のいずれかが示されていれば、FAとします。
これまで5回結婚してきた私が、6回目の結婚をした相手は、アンドロイドだった。
正直、今度も長続きしないだろうと思っていたが、気付いたら、もう50年も一緒にいた。
アンドロイドだから、言う通りに従ってくれるから、別れなかっただけだろう、と人は思うかもしれない。
でも、そんなことが理由じゃない。
だいたい、なんでも言うことを聞いてくれる相手なんて、退屈に決まっている。
「なんでまた新しいPCなんて買うの」「お前こそバッグ何十個あるんだよ」
「靴下脱ぎっぱなしにしないでって何回言ったらわかるのよ」「うっさいなあ…これから洗濯機に入れろうと思ってたんだよ。」
私たちはこんな会話もちゃんとできる。
こういうことでもなかったら、夫婦でいる意味がない。
まあ確かに顔は好みを「選んだ」けれど、ちゃんと定期的に「加齢メンテナンス」もしてくれるので、この人銀次郎は、ご丁寧にシワもできてるし、なんならちょっと頭も薄い。
だってそうだろう。いつまでも若い相手を連れて歩いていたら、世間にどんな目で見られるか。
それ以上に、自分だけ歳をとって、この人が老けていかなかったら、辛くて仕方がない。
私の目標は、昔ヨーロッパの街角で見かけた、スティレットを履いた90歳ぐらいのおばあちゃんだった。
もちろん、横には同じぐらいのダンディなパートナーを連れている。
「今日はその靴を履くんだ。良いね。」
いつだって銀次郎は、私の靴を褒めてくれる。
あの日見たおばあちゃんのように、90歳の私は11cmのスティレットを履く。
ちょっと不安なこともあるけれど、横にはいつも銀次郎がいる。
「ありがとう。あなたはまるで私の義足ね。」
「義足?僕が人工の人間だからw?」
もはや、自分がアンドロイドであることを自分でネタにするんだな、この人は。
「まーねー。それもあるけど、でも、私にとって大切な私の一部だから。あなたなしで私はこの人生を歩けないから。」
「ウミコ…」
「人間の代替なんかじゃない。人間なんかよりずっと素敵な私のパートナー。そして私のためだけに作られた、唯一無二の大切な人。」
私は銀次郎の手を取って、歩き始めた。
数年後にこの人のメモリーカードを自分で抜く勇気が、私にあるだろうか。
まあ、今となってはそんなことはどうでもいい。
命尽きるまで、私は、この靴を履いて、この人と歩き続ける。