(やっぱりコチドリが多いな…でもシロチドリもいるな…あ、あれはイカルチドリかな??)
野鳥の会の会員でもある鳥好きの逆瀬川雲雀は、チドリを慈しむように目で追っている。
それにしても、今日は、暑すぎず、寒すぎず、なんて気持ちのいい日なんだろう。
海を眺めるのには最高の気候だ。
そんなことを思いながら、ぽかぽか陽気に誘われて、逆瀬川はついうとうとしてしまった。
(???)
急に賑やかになった聞き慣れない声に、ふと目を覚ます。
顔を上げると、さっきまですぐそばにいたのに、ちょっと離れた所でみんな一列に並んでいる。
全く、いつ見ても可愛らしいなあ。
◯◯◯からわざわざやってきたんだもんなあ。
さて、◯◯◯に入るのはなんだろう。
*百人一首 その七十八【あはぢしま かよふちどりの なくこゑに いくよねざめぬ すまのせきもり】からのinspireです。
転載元: 「when I hear those seabirds cry」 作者: gattabianca (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/8704
「内陸国」
今日、逆瀬川雲雀は海外から来た視察団の案内をしている。
今日の視察先は、電車で40分ほど向かった先にある。
別に車でも良かったのだが、この電車は、日本で一番海が綺麗に見える通勤路線だ(と逆瀬川は思っている)。
時間も昼間なので、そんなに混んでいない。
天気は良く、車内は快適だ。
連日の疲れもあって、逆瀬川は車窓からチドリをぼんやり眺めながらうとうとしていた。
突然、テンションの高い聴き慣れない言葉の会話で目を覚ました。
顔を上げると、視察団の人たちがはしゃいでいる。
そう、彼らの国は、内陸にある。
海を見たことがない人たちも少なくない。
ずらりとロングシートに陣取り、子供のように後ろ向きに座って、キラキラ輝く海に興奮する視察団の人々。
それまで逆瀬川の横に座っていた人たちまで、反対側の海沿いのシートに移っていた。
国ではそれなりの地位の人もいるというのにw
内陸国の人はだいたいいつもこんな感じだ。
それが見たくて、ついこの路線に乗せてしまうのだ。
全く、いつ見ても可愛らしい反応だなあ。
そう微笑ましく眺める逆瀬川であった。