【金ますか？リサイクル】Achilles and his gold

「あたし？ステンノー。あの、ペルシーのにーちゃんに成敗されたメドゥーサの姉。説明してわかってくれる護衛には通してもらった。わかんない奴は石にしてきた。」

「お、おぅ…」

「まあ、あいつは元からやんちゃだったし、あんな目に遭っても仕方ないと思ってるけど、庇っただけで同じ扱いってひどくね？あんな妹でも妹は妹なんだからさ。しかもあたしは何故かあいつと違って不死身だから、このまま生き続けなきゃいけないし。」

「そ、そうか…」

「なんか王様の話聞いて、他人事に思えなくって。馬車も乗れないんでしょ？じゃああたしが石に変えてあげるからさ、それを魔法使いさんの所に運ぶよ。呪いはいっぺんに解除してもらえばいいでしょ？」

「いや、しかし…」

「あ、信用してないの？そりゃあ、石になったら意識もなくなるから、その辺に捨てられたらどうしようって思うのも仕方ないけどさ、わけのわかんない呪いにかけられた者同士じゃん？あたしは、裏切らないよ。」

「まあ、このままいても餓死するだけだし、な…」

一か八かだ。王が決意すると、女は、自らの顔を覆っていた覆面を取り払った。

次に意識が戻った時、ミダース王の横には息絶え絶えの女がうつ伏せで倒れていた。

「Oh! 良かったのです(ﾟдﾟ)ゞ。この親切な女性が、石に変わったあなたを、わざわざここまで運んできてくださったのですよ。台車に乗せて一生懸命引っ張って来たのです。多分相当重かったと思うのです。」

「この人、ステンノーさんは…」

「別に私はこのままでもいいから、この人の石化の呪いと黄金の呪いだけ解いてください、と言っていたのですよ〜。あなたはどうしたいのですっ°д°)っ？」

ミダース王はもう、富は懲り懲りだった。
田舎の質素な小屋で、ひっそりと生きていくことにした…もう誰にも危害を与えることのできなくなった女と一緒に。

石像になった自分を遠路遥々引っ張って行ってくれた男気のある女を、どうして見捨てることができようか。

まあ、その後なんだかんだあって、ミダース王は耳がロバみたいになる呪いをかけられたりするのだが、それに対しても、

「別に耳がロバぐらいいーじゃんw あたしなんて、ちょっと前まで髪が蛇だったんだからwwあれ地味に餌代かかるwww」

と剛気な返しをしたとかなんとか。

＊当たり前ですが、本来のギリシア神話のストーリィとは全く異なっています。ご了承ください。
＊Σθεννώ（ステンノー）は古代ギリシア語で「強い女」の意。