「もしもし?実はさ、とんでもないことが起きたんだ!」
私は興奮気味に言った。
すると、携帯のスピーカーから
「田中翔くんによろしくね。」
と、聞き慣れた声が聞こえてきた。
私は驚きのあまり言葉を失った。
なぜ「私」は驚いたか。
転載元: 「そんなことってある!?」 作者: たろう (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/8543
私は高校の入学式の日、同じクラスの田中翔くんと知り合った。彼は気さくな人だったので、私たちはすぐに打ち解けた。
しかし、私には一つだけ不安があった。私は初対面の人の顔をどうしても憶えられないのだ。もしかすると、明日会ったとき、田中くんと他の人の見分けがつかず、不快な思いをさせてしまうかもしれない。
私はこのことを正直に伝え、明日の非礼をあらかじめ詫びた。
翌日学校に行くと、同じクラスの男子が話しかけてくれた。彼は気さくな人だったので、私たちはすぐに打ち解けた。
そして驚くべきことに、その男子の名前は田中翔だったのである。さらに、彼の趣味は昨日知り合った田中翔くんと非常に似ていた。
彼が別の子と話し始めると、私は急いで昨日の田中翔くんに電話をかけた。同じクラスに同姓同名の、しかも似たような趣味を持つ人がニ人もいるという衝撃的事実を早く共有したかったのである。
田中くんが電話に出るのを待っていると、目の前にいる田中くんもちょうど誰かから電話がかかって来たようである。まったく、この二人は何から何までそっくりだ。
ようやく昨日の田中くんが電話に出た。
「もしもし?実はさ、とんでもないことが起きたんだ!」
私は興奮気味に言った。
すると、携帯のスピーカーから
「田中翔くんによろしくね。」
と、聞き慣れた声が聞こえてきた。
私は驚きのあまり言葉を失った。
聞き慣れているはずである。その声は、目の前にいる田中翔くんのものだったのだ。
田中くんは、いたずらっぽく笑った。