その国では、小さな女の子たちが、「舞踏会」ではなく、「握手会」に行くことに憧れているという。
なぜだろう?
*Q9 Polpobiancoのリサイクル(セルフリサイクル)です。
転載元: 「【おどりますか?リサイクル】&【二物衝撃 No.17, No.18】you can hold my hand if you want to」 作者: gattabianca (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/8465
*シンデレラのストーリィは、人魚の国では成立しない。なぜなら靴がないから。
だから、握手会と手袋の話に翻案して訳す必要があり、人魚の女の子たちは、王子様の握手会に参加することを夢見るようになったのである。
「この話が棒人(※注:我々のいうところの『人間』)界では人気らしい。sirenabiancaさん、翻訳して出版しませんか?」
「へーロマンチック💕でも靴なんて女の子たちに受けるかしら?イメージしづらくない?」
「そうですねぇ…」
「じゃあ翻案してみますか。舞踏会の代わりに、王子様が握手会を開く。そこにシンデレラが手袋を落として帰る。」
「なるほど」
「ねえ知ってる?シンデレラって本当は落とすの靴らしいよ?」
「靴って何?」
「なんかあの、陸にいるとかいう、足が生えてる棒人がその先に被せてるものらしい」
「へー なんかよくわかんない 手袋の方がいいよね」
…そんなふうに思っていたはずの私が、なんで棒人なんか好きになっちゃったんだろう。
なんであんなみっともない足なんて手に入れようと思ったんだろう。
靴なんて全然素敵じゃない。痛い。
ただ足で歩くだけも大変なのに、こんな掌ぐらい高い、針のように尖った物がついてる物を身につけて、どうしてみんな歩いたり、ましてや踊ったりできるんだろう。
…でも、好きになっちゃったんだから仕方がない。
あの人のためなんだから絶対履きこなしてみせる。
海にいた頃は三日坊主だって言われてきたけど。泣き虫だって馬鹿にされたけど。
でも、私は変わったんだ。
あの人の目に留まるためなら、どんな努力だってしてみせる。
プリンセスの暮らしなんて、退屈だ。
あの人は、忙しくてほとんど帰ってこない、政務に会議、会食に狩り、そして綺麗な女性たち。
別に、私が何をしていようが、気にする様子など、ない。
私は故郷を捨てた。
「人魚」だった過去を捨てた。
文字通り血の滲む苦労をして、こんな11cmのスティレットを履きこなすようになった。
何もかも、全て、あの人のためだったのに。
なんて皮肉なんだろう。
3年も経てば、こんなに妻のことなんてどうでも良くなってしまうのか。
このアイディアは、元はと言えば、あの人が片方靴を落としていった私を探し当てたこと、そして小さい頃から親しんでいた握手会のシンデレラの話からヒントを得た。
だから、私は、今日も街で手袋を落とす。
私と踊ってくれる、新しい優しい殿方を探すために。
私はもう大きいお姉ちゃんだから、泣かないの。
Story inspired by: "Big Girls Don’t Cry (Personal)"by Fergie &「シンデレラ」&「人魚姫」&過去問たち