つかれているときは甘いものがいいよ。
女はそういうと、霊障に苦しんでいる私に大福を差し出した。
そんなもので霊を祓えるわけでもないのに、なんで?
Q3.アシカさんのリサイクルです。
転載元: 「【スイーツますか?リサイクル】笑みが溢れる甘い大福」 作者: FCK (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/8334
私は大手総合スーパーの社長だ。これから業界シェアを拡大させる為に、各地域への新店舗の出店を手がけている。今は軌道に乗り始めた新店舗の視察に向かう途中だ。
久々に街を歩いてみると、シャッター街だらけだった。それもそのはず、私が新店舗を招いた影響で、地元に根ざした商店街の店は次々と潰れていっ
からだ。実際、誘致には反対運動も大きかったらしいが、そうは言っても世は弱肉強食。商店街の時代はもう終わったのだ。
と、永遠に続くシャッター街の中に、生き残りを見つけた。古くから続く大福屋のようで、私が店の前を通ると老婆が出てきた。
「そこの人!うちの大福、食べてみてよ。お仕事でおつかれのようだから、つかれてるときは甘い物がいいよ」
たしかに最近あまり眠れないせいで、激務の疲れが取れない。頭痛もひどくなった気がする。
「おばあちゃんの大福美味しそうだね。でも遠慮しておくよ。なんせもう歳だから、噛む力が弱くてお餅は控えてるんだ」
そう言ってお店を通り過ぎようとした時、背後から
「…チッ」
と舌打ちが聞こえたような気がした。
びっくりして振り返ると、そこにはもう老婆はおらず、ただシャッターに閉ざされた潰れた大福屋があるだけだった。