いつも幼いカメオの心の片隅には、
「母は近いうちに突然、病気が理由で死んでしまう」
という確信に近い怯えがある。
カメオの母は超人的な体力と回復力の持ち主であり、病気にかかることは滅多にない。
今までにかかった中で一番重いウミガメ病(かかった人間は三日も経たずに死ぬとされている)だって、ニ日も経たずに完治してしまった……そんなハイパーウルトラ回復力の持ち主なのだ!
それなのに、何故カメオは母が死ぬことを心配しているのだろう?
★SPのおっさん、ありがとうございました!
転載元: 「アルティメットマザー」 作者: アメミヤ (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/8298
三日も持たずに死んでしまうとされているウミガメ病にかかったカメオの母は、「自分の命はもう長くない」と思いました。
そして、窓の外の一枚の病葉を指して、息子のカメオにこう言いました。
「カメオ、あの葉っぱが見える?
あれはね、病葉っていうの。」
「病葉?」
「そう、病葉。あの葉っぱは病気でね。
病気だから、みんなより先に落ちちゃうんだよ。
私は、あの葉っぱが落ちたら死ぬのよ。」
珍しくしんみりとした表情でそんなことを言う母を見て、カメオはこう思いました。
「お母さんは、葉っぱが落ちたら死ぬんだ。そしてその葉っぱが落ちるのは、葉っぱの病気のせいなんだ」と。
実際は、カメオの母は持ち前のハイパーウルトラ回復力によって、その日のうちにウミガメ病に打ち勝ち即退院することになったのですが、
カメオは結局その葉っぱが落ちるところを見ることが出来なかったので、
「今お母さんが生きているのは、あの葉っぱが落ちていないからだ。
あの葉っぱが病気に負けて落ちてしまったら、お母さんは死んでしまうんだ。」と信じ続けているのです。