女子会で、自分が用意した煮りんごに対して、友達に文句を言われたウミコは笑みを浮かべた。一体なぜ?
*Q7 kUmaさんのリサイクルです。
転載元: 「【スイーツますか?リサイクル】I can make all the tables turn」 作者: gattabianca (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/8286
遠慮せずに文句を言われたことで、本音で付き合える仲間として迎え入れられたと初めて感じられたから。
「あら、水平樓の小籠包じゃない!」
「美味しいのよね」「これ大好き」
「でもご存知かしら。お得意様しか買えない、鱶鰭入りの小籠包があって。それがもう、絶品…」
「『しろ猫』のお寿司ね。並ばないと買えなかったんじゃないの?」
「私もよく家族で出かけるわ。もちろん本店でしょ?」
「あそこ板前さん変わったのご存知?今度の神崎さんの革新的なプレゼンテーションもいいけれど、私は伝統的な松尾さんのお味が懐かしいわ。」
「キャッスルトンのセカンドフラッシュね?」
「やっぱり、ダージリンの名園、お値段にふさわしい香り高さ」
「確かにお紅茶としては最高峰だけど、私だったら今日のドルチェにはファーストフラッシュ、マーガレットホープあたりを選ぶかしら。皆様どうお思い?」
奥様方が集うこの会には、みんな自分のご自慢の一品を持ち寄る。
もちろんそれはこの会にふさわしい高級品で、みんなそれを褒めそやす…のだが、必ず誰かがその上を行くマウントを取ってくる、というのが、ここのマダム会(本人たちはユーモアを込めて「女子会」と呼ぶ)のお約束である。
それは、相手を傷つける本気の文句の言い合いではなく、信頼関係があるからこそできることだ。それもあって、メンバーたちは喧嘩一つせず、とても仲良しだ。
このコミュニティに新しく加入したウミコは、いわば、「見習い会員」である。
まだ本気のマウントの相手にはされない。自分が言われない限り、他の人の持ってきたものにとやかく言う機会も与えてもらえない。
「海亀牛A5ランクのローストビーフをいただいたので、お裾分けしたくって。」
「シルトクレーテのシャルキュトリ、オードヴルにいかがかしら、と思いまして。」
「ラトルチュエットのプラリーヌとトリュフ、食後のお口直しにどうぞ。」
ウミコも周りにならっていろいろ持っては行くのだが、その度に「美味しそうね」「ありがとう。皆でいただきましょう」と通りいっぺんのお礼を言われて、流されるだけであった。
もちろん嬉しいのだけれど、まだ仲間に入れてもらえないのかな、と思ってしまう。
「今日はパーラーラテリアルのリンゴのコンポートをお持ちしましたの。」
「まあ、とっても美味しそう!」
「赤ワインとシナモンの控えめな香りが、紅玉によく合っているわ。」
「でも、この季節のラテリアルだったら、私はラフランスのコンポートの方が好きかしら。もちろんリンゴも定番で美味しゅうございますけど。」
「それより、夏の一時期しか出ない白桃のコンポートは召し上がった?あちらの方が。」
「うーん、私だったらイチジクかしらね。」
褒めた後に始まる大マウント大会。
もちろん、みんな美味しそうな顔で煮リンゴを楽しんでいる。
ウミコは、ようやく仲間に入れてもらえたと笑顔になるのだった。