カメオは自分の服に、大人気アニメ『海辺のレスとラン』の登場キャラクター『レス』が描かれた缶バッジをつけていた。
それを見つけたウミオが、カメオに声をかけた。
「あ! カメオも『レス』が好きなんだ!」
「ウミオは『レス』推しなのか。オレの推しは『ラン』の方だ。」
「え? じゃあソレ、オレの持ってるコレと交換してよ!」
ウミオは『ラン』が描かれた缶バッジをカメオに差し出し、『レス』のバッジを求めた。
カメオは嬉しそうな顔をして自分のバッジに両手をかけたが、すぐ真顔に戻って「やめとく」と答えた。
カメオには『レス』の缶バッジをつけておかなければならない理由はなく、交換するのをためらう気持ちもなかったのだが、なぜ交換するのをやめたのだろう?
転載元: 「【服飾ますか?イマサラリサイクル】残り物には服がある」 作者: ねじ (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/8251
缶バッジで服の破けている部分をとめていたカメオは、今ここで缶バッジを外したら「安全ピンとして使っていたこと」がバレてしまうだろうと思った。
カメオだって、どうせつけるなら『ラン』の缶バッジの方がいいとは思った。
でも「大事な『ラン』のバッジを道具として使うなんてイヤだ」と思いとどまった。
ならば、『レス』の缶バッジを道具として使っていると知ったら、『レス』推しのウミオは気を悪くするのではないかと思ったのだ。
「あ・・・あの・・・あのさ、オレが使ってるってことは、これは中古品ってことじゃん。明日コレと同じ新品持ってくるから、そしたらソレと交換してくれよ。」
「おう!わかった!」
交渉は成立した。
カメオの体面も保たれた。