【占いますか？オマージュ】忘れてもいいこと

ある仲睦まじい夫婦の会話。
「血液型占いによると、わたしとあなた、相性いいみたいよ。」
「へえ、そうなのか」

夫は妻に血液型占いの話をされて、ふと、『あること』を忘失していることに気が付いた。
そして、別に思い出せなくてもいいや、と思った。

別に夫も妻も血液型占いを信じているわけではないのだが、『あること』とはなんだろうか？
ちなみに夫婦は互いの血液型を知っており、血液型を特定する必要はない。

Q12 gattabiancaさんの問題文のオマージュです。

「過去に好きだった相手の血液型」

夫は若い頃、高嶺の花の女性に猛アタックをした経験がある。
積極的にコミュニケーションを取って距離を縮める努力をした。
相手の好みのファッションや体型をリサーチして、服装を変えたり体を絞ったりもした。
さらには星座や血液型まで調べ上げ、別に信じているわけではないのだが、相性診断を見て参考にすることもあった。

結局は上手に躱されてしまい、その恋が実ることはなかった。
しかし結果的に自分磨きに繋がり、運命の人である妻を引き寄せる力になった。

今は最愛の妻と幸せな生活を送っている。
夫は妻に血液型占いの話をされて、「そういえば、昔好きだった人との相性を調べたことがあったな」と思い出した。
ところが、相手は何型でどういう診断結果だったか、忘失していることに気が付いた。

夫は、人の気持ちは変わるものだということを実感した。
そして、妻が一番大切な人だから、過去の恋愛の詳細なんて思い出せなくてもいいや、と思った。