女は死んだ。
死体には首が無い。
手中には🔰。
なぜ?
*Q10 kUmaさんのリサイクルです。
*元ネタがあります。
転載元: 「【葉っぱますか?リサイクル】your skin, your skin and bones」 作者: gattabianca (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/8094
女の死体に首がないことをいいことに、女の知人は、女になりすますことを決めた。
そして、女の自慢にしていたハートのバイカラーストーン🔰の指輪を入手した。
女主人が死んだ。
山で遭難したらしい。
私の女主人は少し変わり者だった。
国での生活が嫌になり、大金と財産を持って、異国に住み着いた。
私はメイド兼話し相手のコンパニオン、と言ったところだ。
確かに、気難しくて付き合うのは大変だったが、異国で二人きり、それなりに親しくはしていた。
生活面でも、不自由なくさせてもらっていた。
しかし、日が経つにつれ、女主人の精神状況は少しずつ悪化していた。
私に対しても、無理難題を言うようになったり、大声を上げることが増えてきた。
そうかと思うと、急に沈んで部屋から一歩も出てこない日が続いたりもした。
私が一番困ったのは、お給料をくれなくなったことだ。
「あんたなんて私がいなかったら、この国でたった一人路頭に迷うのよ」
大きなハート型の石のついた指輪をつけた指を私に突きつけ、そう言い放つこともあった。
「山に行ってくる。夕方には帰るから。」
ある日女主人はそう言って出かけた。
前までなら、
「一人では危ないです。お控えください。」
「私も一緒に伺います。
そう言っただろう。
この国はそれほど治安も良くないし、山には危険な獣もいると聞く。
それに、かなりの険しい山だし、天候も変わりやすい。
でも、私は止めなかった。
止めたって聞かないだろうし、万が一のことがあっても、「私は止めたのですが、聞き入れていただけませんでした」といえば済むだけの話だろう。
予感は的中した。
1週間後、女主人は死体で発見された。
追い剥ぎの仕業か、獣に襲われたのか、あるいは悪天候で足を踏み外したのか。
それはわからない。
ただ、獣に食い散らかされたのは事実で、首から上はほとんど残っていなかった。
これはチャンスだ。
女主人はほとんど人と接触していなかったから、顔はほとんど知られていない。
そもそもただでさえ外国人の顔の区別はつきにくい上に、幸いなことに私たちは歳格好が近いし、顔も比較的似ている。
流石にこの街に住み続けることはできないので、私は女主人になり変わって何マイルか先の街に住み着くことにした。
もちろん女主人の財産は私のものだ。
この指輪。正直気に入ってた。
女主人がこれを着けて山に行っていなくて、本当に良かった。
だっていくらなんでも獣に食い散らかされた死体が着けてた指輪なんて、嵌めたくない。
真ん中で綺麗にエメラルドとイエローベリルが融合した、大きなハート型の石🔰が入った指輪。
私は満足げに自分の手を見つめた。
*アガサ・クリスティの短編「シーラーズの家」が元ネタです。
同短編については、こちらの問題でもモティーフにいたしました。
*こちらも少しイメージソースだったりします。