豪華な宝飾品や衣装や調度品や車。
そんなものには一切心を動かさなかった姫が、何の変哲もない葉っぱ1枚を持ってきた求婚者と一緒になることを決めたのはなぜ?
ただし、その相手の外見が特に姫の好みだったというわけではない。
*Q6 セルフリサイクルです。
転載元: 「【葉っぱますか?リサイクル】if all of the kings had their queens on the throne」 作者: gattabianca (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/8071
*月に帰る姫は、月と同じ条件で植物の栽培を成功させた研究者と結婚することにしたから。
「姫様、世界中のすべての宝石を集めたティアラです。どうかこれをつけて私のもとにいらしてください。」
「グランディディエライトとアングレサイトが入ってない。っていうかそれ持ってるし。あとあなたの元には行けないの。」
「高級家具一式をご用意いたしました。もちろん宮殿丸ごとです」
「だーかーら、私は帰らなきゃいけないって言ってるでしょ?」
「トップデザイナーにデザインさせたウェディングドレスです。今後姫の専属スタイリストになっていただく契約をしています。」
「待って電話で聞く…別にあなたと結婚しなくてもそれはやってくれるって。あと、宇宙対応のデザインはやってないっていうからダメ。」
「世界に1台だけのスーパーカーを、365台用意しました。」
「…それ宇宙船に詰められるって思ってるの?っていうか向こうで走れないよね?」
なんだろう。この人たちは本当に私が月に帰ると思ってないんだろうか。
それとも、高級品を見せびらかしたら、私が翻意するとでも思ってるんだろうか。
私は、国どころか星(月のことだけど)1個丸ごと責任を負わなきゃならない立場だってのに、ムーンプリンセスカグヤ、なめられたもんだぜ。
「殿下、お時間がございましたら、研究成果を少しお目にかけとうございます。」
「あら、王立研究所植物研究部のルア部長じゃない。いいわよ…プロジェクトの進捗はどう?」
「…こちらです。月と同じ状況を再現した環境で、青々とした植物を育てることが可能になりました。
試しに、そこらへんの雑草を植えてみましたが、問題なく育ちました。
こちらがその葉っぱです。
木々や野菜、様々な有用植物を植えることも可能でしょう。
今後、月は緑豊かな星になるはずです。」
「それは素晴らしいことですね。地球に輸出が可能になれば、食料問題も解決しそうですね。将来的には移住も可能になるかもしれません。」
「はい。でも、私がこの研究をしていたのは、地球の将来のためだけではありません。」
「…。」
「麗しい殿下が地球にいた時と同じように、美しい花に囲まれ、美味しい野菜や果物を楽しみ、青々とした木立の中で、心安らぐ暮らしをする姿を見続けていたくて…」
「…。」
「私を一緒に連れ帰っていただけませんか?」
「…そうなったら、私、地球が綺麗ねっていうんでしょうね。」
「命を落としても惜しゅうございません。」