【葉っぱますか？リサイクル】can you hear my voice this time?

もうあえなくなってしまったあの人

川下のまちにすむあの人にむけて
わたしは笹舟をながします

おぼえてますか　小さいころ　七夕のよるに
いっしょに笹舟をながしたこと

おねがいごとをして　そっと川におもいをうかべたこと

七夕の日まで毎日一つずつ
わたしは　ひそかなおもい　うかべます

「げんきでいますか」　
「わたしのこと　おぼえていますか」
「わたしはずっとあなたをわすれません」

七夕の日　わたしはおみあいをします

もうあなたには一生あえないでしょう

せめてこの笹舟があなたにとどくのなら

どうかわたしのことを　おもいだしてください

いっしょに笹舟をながした日のことを　おもいだしてください

時代背景：大正７年（１９１８年）７月１日。

主人公りん。女学校に通う１２歳。実家は呉服屋を営み、比較的裕福である。

主人公の幼なじみ清三。１１歳。職人の次男だったが、川下の町に奉公に出されている。