「あの最後の葉っぱが落ちたら、私は死ぬんだぁ…」
窓の外を眺めながらそう呟く女。
その様子を見た男は、
「きっと自分よりも彼女の方が長生きするだろう」
と思った。
いったい何故?
* Q2 メトロノームさんのリサイクルです。
転載元: 「【葉っぱますか?リサイクル】moi qui t'aimais」 作者: gattabianca (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/8056
*彼女の部屋を木の上から覗くストーカー。転落5秒前。
俺は病弱な女が好きだ。
美人薄命、病に伏せっている女を見ると、ゾクゾクする。
「もう治る見込みがないの」なんて言葉は、俺にとっては最高のアイラブユーだ。
回復すると途端に関心がなくなるのは困り物だが、好みなんだから仕方がない。
もちろん、自分で手にかけて殺す、なんてひどいことはするわけがない。
まあ、執拗に付き纏った結果、精神的にまいって余計病状が悪化したなんてケースもなくはないが、それは別に俺が悪いわけじゃない。
今日も、木に上って、目をつけた女の部屋を、外の上から見下ろしている。
風が強いけどそんなの気にしない。
お、あの女が出てきたぞ。
「あの最後の葉っぱが落ちたら、私は死ぬんだぁ…」
いいねえ。
単に余命を嘆くより、よっぽどロマンティックだ。
風が強いから、あの葉っぱもそろそろ落ちるんじゃないかな。
失望にゆがむ彼女の顔はさぞ綺麗なんだろう。
もう少し楽しみたい気もするが…
その時だった。
急に風が強まり、双眼鏡を覗くことに夢中になっていた男はバランスを崩した。
彼女の部屋は7階。
この木はそれより高いから、8階ぐらいの高さになるのか。
うん、俺、まず助からない。彼女の方が長生きすることになっちゃったな。残念だ。
そう思いながら、男は地面に向けて落ちていくのであった。