【黒ますか？オマージュ】イン・ザ・デッド・オブ・ナイト

―きみもやはり　片目を開けて眠れる一人なのか

男と女の地平線は血の色へ溶けだしていく。
押し殺した叫びを隠す閉ざされた窓。
詮索好きな者は事態の推移に気付かない。

夜の闇を彷彿させる深い色合いの珈琲を嗜む男がいる。
その男は女を生き永らえさせる為に珈琲に血液を混入し、女にそれを飲ませている。
しかし男の望みは叶わず女は死んだ。
なぜ？

解答：
女が生命供給の能力を向上させ自らの生命力を枯渇させたから。

ストーリー：
女が男に見初められたのは不運としか言いようがない。
偏執狂の男は女を拐かし根城に幽閉した。

血と肉を繰り返し貪られる日々。
女が死を望んでも死ぬことは許されなかった。
ダンピールの再生能力、男から与えられる生命力、そして強制的に飲まされる血液入りの珈琲が女を生き永らえさせた。
珈琲には血液の他にも覚醒作用と幸福感をもたらす薬物が混入されており、女の身も心も支配することが男の望みだった。

ヴァンパイアの男は強大な力を有しており、女の力では男を倒すことは不可能だった。幽閉場所は厳重に封印されており変身して脱出することも出来なかった。

男の誤算は、女が「リバースエナジー（生命供給）」の能力に特化したことだった。
エナジードレインで男の生命力を吸い尽くすことは不可能でも、リバースエナジーで自らの生命力を枯渇させることなら出来るかもしれない。
女はそう考え、地獄の日々の中で、リバースエナジーを鍛錬し続けた。

そして決行の日。
女は血肉を貪られる時に合わせて、鍛え上げたリバースエナジーを発動させ、自らの生命力を枯渇させた。
女の魂は牢獄から解放され、やがてスピリットとして転生し、復讐を誓った。