衣服の整理整頓をしていたカメコは、数年前にクリーニングに出したはずの黒い服がきれいな状態ではなかったので、前向きな気持ちになった。
どういうことだろう?
*Q3 メロトロンさんのリサイクルです。
転載元: 「【黒ますか?リサイクル】I put my armor on」 作者: gattabianca (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/7966
*仲のいい顧客が、自分の売った服を愛用して着倒してくれていることがわかったから。
「御影さん、帰国されたんですね。お疲れ様です。」
「カメコさん、ありがとうございます。引っ越し荷物が届いたところなので、散らかってるけど、一度遊びに来てください〜」
国際協力機関で働く御影と、サザンモートのヴィンテージセレクトショップ”Chatte Blanche”オーナーのカメコ。
カメコの店に御影がよく買い物に来ていたことをきっかけで、友達付き合いするようになった。
「お邪魔しまーす。うわーすごい段ボールの数…」
「そうなの。今絶賛片付け中!」
「お手伝いするね!整理整頓は苦手中の苦手だけど、お洋服かけるのならプロだからw」
そういって、段ボールからお洋服を取り出し、クローゼットにかけていくカメコ。
段ボールから現れた服の多くが、カメコにとって見覚えがあるものだった。
キャリアウーマンの御影によく似合うと思って、カメコがセレクトした、ヴィンテージの高級ブランド。
ヴィンテージ、つまり古着ではあるが、もちろん店頭に並べる前には、きちんとコンディションをチェックし、クリーニングに出している。
しかし、目の前にあったのは、カメコが売った時とはだいぶ様子の違う服の数々だった。
少し汚れのついたリトルブラックドレス。
ボタンの糸の取れかけたビジネススーツ。
シワが寄ってくたびれ気味のテーラードジャケット。
履き込んでちょっと膝の出たストレッチパンツ。
ちょっぴり裾がほつれて来たタイトミニ。
御影によく似合う黒い服たちは、お世辞にも綺麗とは言えないコンディションだった。
でも、それは、御影がこの服たちを着倒してくれた、ということだ。
自分の選んだ服たちを身に纏い、海外で一人戦って来た御影のことを思うと、とても誇らしく思えた。
これこそ、服屋冥利に尽きるというものだ。
他にどんな服を持っていってくれていたのだろう。靴は。バッグは。
カメコは、クローゼットにかけるのもそっちのけで、次々と段ボールを開けていった。
「カメコさん、休憩しない?お昼でもどう…って何があったのこれ!?!?」
キッチンで食器類を片付けていた御影が寝室のドアを開けると、そこには、山のように積み上げられた服と封を切られた段ボール。
そして服の山に埋もれるカメコがいた。