誰かが見ている。

東京のとあるアパートで一人暮らしをしているカメコは、最近、ストーカー被害に悩まされている。
静けさがより恐怖を掻き立てるため、仕事から帰るとすぐにリモコンでテレビの電源ボタンを入れ、部屋ができるだけ無音にならないようにしていたのだが、その日同じようにリモコンを操作してテレビ画面を見ると、そこには自分の部屋が映っていたため、カメコは恐怖におののきすぐ警察に通報したという。

ところでこの時、カメコは隠しカメラの存在ではなく盗聴器の存在を心配したというのだが、それは一体何故だろう。

テレビの電源を入れたのに反応はなく、画面にはカメコの部屋が反射して映っていた。
テレビのコンセントを抜いた覚えなんてないのに抜けているのは、そこに盗聴器が仕掛けられたからではないかと考えたのだ。

＊＊＊

しかし、犯人はなぜコンセントを入れ直さなかったのだろう？
ひょっとしたら、コンセントを入れ直す余裕が無かったのだろうか？
例えば、それをする前にカメコが帰ってきて──

警察に電話をかけながら、カメコは気付いてしまった。

あぁ。
私のことを、誰かが見ている──。