テロ犯罪集団「ベガ・アルテア」の幹部タカシ。
タカシは、こっそりと気付かれないように、自分の分け前を多くして、リーダーの彦星に渡す分を少なくした。
そのことに気付いた彦星は、タカシに感謝した。
なぜだろう?
転載元: 「【分けますか?リサイクル】I’m waiting for the angels of Avalon」 作者: メロトロン (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/7895
解説:
キープしていた酒を「天使の分け前」に準えて、より高価な酒とすり替えたから。
詳細:
マフィア御用達の酒場『悪魔のぼったくり亭』で酒盛りをする「ベガ・アルテア」の一味。
彦星はこの酒場に、スコッチウィスキーを「樽キープ」していた。
「ボトル」ではなく「樽」でキープするというのは、まさに酒豪たる所以だろう。(たるだけに)
その日も彦星は、いつものようにキープしていた酒を注文したのだが、一口飲んだところで異変に気付いた。
香りや味わいに、いつも以上の深みを感じる…。
彦星は、酒場に置かれている自分の酒樽に近づき、じっと観察した。
銘柄は同じだ。樽の大きさも同じ。
しかし、年数表記が違う。
キープしたのは“12年もの”だったはずだが、なぜか“30年もの”になっている。
試しに酒樽の片側を持ち上げてみると、明らかに感触が軽い。
部下に命じて最近新たにキープしたばかりなので、本来はもっと残っているはずだ。
ということは、つまり、キープしていた酒が何者かによって高級品にすり替えられている。
誰がなんのために…?
彦星は少しの間考えて、やがて酒樽に刻まれた“angel’s share”という小さなサインを見つけ、目星が付いた。
幹部のタカシは、自他共に認める美少年であり、周囲から「天使のような美少年」と呼ばれている。
その美貌だけでなく、何事も器用にこなす天才肌。おまけに頭の回転も早い。
先日の案件で成果を上げたタカシには、報酬に色を付けて配分したのだった。
その恩返しというわけか。
「タカシ…おまえの仕業だな?」
「さあ…なんのことでしょうか?」
タカシは微笑みながらそう答えた。
「とぼけるなよ。俺の酒をすり替えたのはお前だろう?」
「僕は、“自分の分け前”を多く頂いただけですよ。」
「ふっ、あくまでも『天使の分け前』というわけか。」
「もしお酒が減っているのでしたら、それはきっと『天使の仕業』でしょう。」
彦星は、タカシの粋な計らいに感謝したのだった。
「上手いこといったみたいね、天使様。」
「ええ、なんとかバレずに済みました。」
彦星とタカシのやり取りを見届けた織姫は、こっそりと、タカシに話しかけた。
「さすがの演技力だったわよ~。」
「織姫さんがリーダーの酒を全部飲んでしまわなければ、こんな小細工をする必要はなかったんですけどね…」
そう、織姫はリーダー彦星が不在時に開いた宴会で、彦星がキープしていた酒を全て飲んでしまったのだった。
やっべー、あとで怒られる…と焦った織姫は、タカシになんとかして!!と指示を出した。
ウィスキーは同じ銘柄、同じ熟成期間であっても、樽ごとに個体差があり、その品質は微妙に異なる。
普通に差し換えただけでは酒好きの彦星には見抜かれてしまう。
それならいっそのこと、気付かれることを前提として、それらしい理由を添えて、高級品を献上すればいい。
今日も上機嫌に酒を飲む彦星と織姫を見て、演技派の天使はやれやれ…と思った。