厚がり食パン

ある朝。
埃がかからないよう、パンの上にハンカチをかけてからシャワーを浴びに行った男。

だが、男がシャワーを終えて戻ると、パンの上にあったハンカチはそこからなくなっていたという。

もし、そのパンがしっかり焼けていた場合、ハンカチがそこからなくなることはなかったという。

一体どういうこと？

ある朝。男の妻は朝食を作るため、ポップアップ式のトースターに埃よけとして被せていたハンカチをどけると、パンをセットし、レバーを下に引いた。そして、目玉焼きの準備に取り掛かるためそこから離れた。
その後、起きて来た男は、キッチンを通った際、トースターを見て、(トースターに埃が被るじゃないか)と思い、パンの入ったトースターにハンカチを掛けると、シャワーに向かった。
パンは焼いている途中であったが、中に入ってしまっていたため、外からは分かりづらく、男は何も入っていないと勘違いをしてしまったのだった。

その後パンが焼けると、チンッと上に飛び出し、上に乗っていたハンカチを何処かに飛ばしてしまったのだった。

もし、パンが焼き終わっており、上に飛び出していれば、男が勘違いすることはなかっただろう。