目を覚ましてすぐに、男は書斎に向かう。
毎朝一番に必ず、書斎にある大きな日めくりカレンダーをめくる。
それが、十年前から続けてきた男の日課だった。
しかし今朝、
いつもの日課を行おうとした男は手を止めた。
(カレンダーが、既に今日の日付を示している・・・。)
息子に聞くと、遊んでいる時にうっかり破いてしまったらしい。
男はしばらく考えた後、息子を殺すことにした。
さて、一体なぜ?
転載元: 「戻らぬ日々、輝かしき日々」 作者: るょ (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/778
私は毎朝、日課のように書斎に向かう。
カモフラージュのために壁にかけた大きな日めくりカレンダー。
「それ自体」をめくり、壁を見る。
正確にはそこには壁は無い。
あるのは黄金の輝き・・・その名の通り、金塊が姿を現す。
十年前に世を騒がせた金塊強奪事件。
隠し場所に困った私は、苦肉の策、壁に穴を掘り、こうして隠していたのだ。
不正な手段で巨万の富を得た人間ほど神経質なものは無い。
『睡眠中に金塊が盗まれるのでは無いか』という不安。
『事件が時効となる日付が待ち遠しい』という期待。
あのような日課に辿り着くのは必然であったろう。
以来、私は誰に言われるまでもなく日課を続けていたし、
子供ができてからも、書斎には『決して入るな』と言っておいたのだが・・・。
怯えた様子で受け答えをする息子。
その様子が、書斎に入ったことを咎められると恐れているのか、
それとも別の何かに怯えているのかはわからないが・・・。
アレを見られた可能性がある以上、生かしておくわけにはいかない。
本当に残念だ。妻だけでなく、実の息子まで手にかけることになるとは。