手帳を開くともう2年たつなぁって実感したカメコ。
手帳は買い物メモのために使っているもので、カメコが開いたページにはまだ何も書かれていなかった。
カメコはどんな2年間を思い返したのだろうか?
*Q8 tsumuguさんのリサイクルです。
転載元: 「【繰り返しますか?リサイクル】What do you think is the new thing?」 作者: gattabianca (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/7738
買い物依存から必死で回復するための2年間。
「カメコさん、あなたは買い物依存ですね。」
「えっ」
離婚してからというもの、気付くと凄まじい数のバッグや靴や時計を買い込むようになった。
元夫からせしめた慰謝料もあっという間に底をついた。
自分の給料だけでは足りず、借金までするようになっても、まだカメコの買い物は止まらなかった。
「このノートに買ったものを記録していってください。どうしてもそれが無理だ、というのなら、レシートを貼っていってください。
まずは2年続けてみましょうか。」
主治医に言われるままに、カメコは、レシートやネット通販の領収書を手帳に貼るようになった。
こんなことで買い物依存が治るとは思っていなかった。
毎月の主治医の診察でも、こんなこと意味がない、私が好きなものを買って何が悪い、という主張を繰り返すばかりだった。
しかし、1年が経つころから、だんだん変わっていった。
私は何をやってるんだろう。
このバッグや靴や時計は、一体何のために消費されているんだろう。
ただこの手帳に記録されるためだろうか。
そんな迷いを、評価するでもなく、非難するでもなく、主治医はただ受け止めてくれた。
ある日、ふと、消費のために消費していることが虚しく感じられた。
そう思ったら、毎月買うものの数が、少しずつ減っていった。
2年経ったときには、消耗品以外を買うことはほとんどなくなっていた。
「カメコさん、よく頑張りましたね。
この手帳はあなたの2年間の記録です。
決して買い物をすることがいけないわけではないのです。
でも、もし、何かに頼りたくなったら、この手帳が役に立ってくれるでしょう。」
カメコは、ただレシートが貼ってあるだけの手帳を見つめ、この2年間を静かに振り返っていた。