カメオは毎日徒歩で会社まで通勤しているのだが、頻繁に道を間違えてしまう。通勤時は周囲を見つつ道を間違えないように集中しているし、人々や交通状況を含めて周囲の風景や音声に何か変化がある訳でもない。入社して以降もう数年もこんなことが続いているのだが、何故カメオは道を間違えてしまうのだろうか?
転載元: 「【繰り返しますか?Q1リサイクル】僕の心を迷わせる」 作者: メロトロン (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/7719
カメオは20代後半の会社員。
ある程度の仕事をこなせるようになり、自由に使えるお金も増えてきたが、同時にお腹周りの脂肪も増えてきたのが目下の悩みどころ。
本人としては一応の努力をしているつもりだ。
本来なら電車で通う距離を、こうして徒歩で通勤していることも努力のひとつといえるだろう。
しかしながらそんな努力も泡となる、明らかに脂肪の蓄えの原因となっているものは、よりによって通勤途中にあるワッフル屋だった。
カメオは子供の頃から甘いものに目がない。
ワッフル屋の前を通りがかるたびに、シロップの甘い匂いがカメオを誘う。
ついふらふらと購入しそうになる。
ダメだ。僕には決めたことがある。
それに会社の人に見られたら恥ずかしいじゃないか。
カメオは本能的に周囲を見回す。
人々の流れはいつもと変わらない。
その中に知っている顔ぶれはいない。
カメオに注目している人は誰もいない。
つまりどういうことか?
今がチャンスだ。
…。
なんだ…?甘い匂いが…だんだん近づいてくる…
(カメオの足が動いている)
…。
もぐ、もぐ…。
―シロップという名の恍惚が、カメオの脳を支配する―
…。
カメオが正気に戻ったとき、すでにワッフルは食べ終わっている。
ダイエットの為に歩いているのか、ワッフルを食べる為に歩いているのか。
カメオにはもはやわからない。
入社して以降もう数年もこんなことが続いている。
こうしてカメオは今日も『ダイエット成功への道』を間違えてしまうのだった。