男は杵を大きく振り上げ、力いっぱい叩きつけた。
ペッタンペッタンペッタン…
重労働にぼたぼたと水滴を垂らす男はそれを拭うことすらせず、一心不乱に杵を振り続ける。
ペッタンペッタンペッタン…
ひとしきり杵を振った後、男は「臼の中に棚からぼたもちが入らないかなあ」と思った。なぜ?
*Q16 FCKさんのリサイクルです。
転載元: 「【たなぼたますか?リサイクル】down on my knees」 作者: gattabianca (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/7666
*がんばってたくさん脱穀すれば、神棚からお下がりのぼたもちがもらえるから。
杵。現在では餅つきの道具として知られているが、元々は、脱穀の道具として使われていた経緯がある。
秋になれば、江戸時代の農村で暮らす男は、杵で脱穀作業に精を出す。
ペッタンペッタンペッタン…
この村では、豊作の年ともなれば、普段なかなか食べられないぼたもちが振る舞われる。
そのぼたもちは、神棚に捧げられた後、脱穀で活躍した臼への感謝の気持ちも込めて、臼に入れて配られるのだ。
今年は稀に見る豊作だ。
神棚から、かなりのぼたもちのお下がりが入ってくるだろう。
その一心で、男たちは懸命に杵を振るうのであった。