【たなぼたますか？リサイクル】底をついていた

偶然野生の虎の住む洞窟に入ったカメ子は自分がこの日最もついていたことを確信した。
虎の子供を手に入れたからではないとしたらなぜだろう？

成獣の虎（死体）が手に入ったから。

偶然野生の虎の住む洞窟に入ったカメ子。
虎に出くわし恐怖で足がすくんだため、とっさに逃げられなかったことが幸いし、虎が全く動かないことに気づいた。

どうやら落石があったらしい。
目を見開き、恫喝するような顔のまま事切れた虎の周辺には、大小の石つぶてが散らばっている。

カメ子は急いで家に帰り、家族の男衆に声をかけて虎の死体を運び出した。
成獣の毛皮を売るだけでも、カメ子達にとっては多額の収入となり、その後1年間の生活に困ることはなかった。

ただし、その後のカメ子にはあんまり良いことがなかった。

「あの時がいちばんついてたよね。残りの人生は不運ばっかりだったから、きっと運を使い果たしたんだね。」