香水が大好きで、何百本も香水を集めているウミコ。
ただ、中にはあまり好きでない香りも買ってしまっている。
まあ、コレクターだからつい買ってしまうこともあるのだ。
今日はずっと憧れだったラテオとデートだ。
そんな日に、なぜか、ウミコは好きでない香りをつけて行った。
特にラテオがその香りを好きなわけでもないとしたら、なぜだろう?
百人一首 その四十三【あひみての のちのこころに くらぶれば むかしはものを おもはざりけり】からのinspireです。
転載元: 「your favourite kind I wore」 作者: gattabianca (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/7529
ウミコは長年の憧れだったラテオと付き合うようになった…のが3年前。
香水の大好きなウミコは、楽しいデートの日に色々な香りをつけていた。
告白されたレストランでつけていた、可愛らしいベリー系の香り。
海辺にドライブした時につけていた、オセアニックフローラル。
美術館にはウード、公園ならグリーンティ。
夜のデートにはシプレー、スポーツの時にはユニセックスなコロン。
全部大好きな香りだった。今でもその香りをつければ楽しい思い出が蘇る。
もう、そんなことはつらいだけだ。
何があったわけでもない。
すれ違うようになった二人。
今日、多分別れ話を切り出されるんだろう。
女の勘でわかっている。
せめて、この日の思い出を大好きな香りと結びつけたくはない。
でも香水好きのウミコ。
どんな日でも、香水をつけないという選択肢は、ない。
だから選んだ。好きでもないのに、集めていたシリーズだったからという理由で買ってしまった、この香りを。
バーのドアを開ける前に、ウミコはもう一回その香りを付け直した。