「このはしわたるべからず」
そう書かれた看板を見た弥助であったが、少し困ったような表情は見せたものの、躊躇うことなく橋を渡り始めた。
とんちを利かせた訳ではないとしたら、どういうことだろう。
転載元: 「川の上の田村麻呂」 作者: エルナト (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/7399
識字率が今ほど高くなかった時代。
弥助は看板の内容が理解できず困った表情を浮かべたものの、普段は決して通らないその橋の向こう側へどうしても行かなければならず、つい橋を渡ってしまったのである。
橋の中央部分まで来たところで踏み板が抜け落ち川に落ちてしまった弥助。そこへたまたま通りかかった役人の田村麻呂が川に飛び込み彼を助けたのであった。
その後、文字の重要性を痛感した田村麻呂は貴族や武士以外でも学問を学べる場所を設けることに尽力することになるのだが、それはまた別のお話。