ファッショニスタのフォーリアは、大雨が降ると、川にゴミ袋を拾いに行く。
それは、ファッショニスタ同士の絆あってこそだというのだが、どういうことだろうか?
*百人一首 その三十二【やまがはに かぜのかけたる しがらみは ながれもあへぬ もみぢなりけり】からのinspireです。
転載元: 「down this river, every turn」 作者: gattabianca (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/7343
規制の厳しい管理国家(または貧しい国)に住むフォーリアは、隣国の同好の士がわざと「捨てて」くれる古着の「ゴミ」を拾いに行っていた。
フォーリアの国は、厳しい鎖国政策を取っていた。
外国との行き来が厳しく制限されていただけではなく、その文化や物品もほとんど入ってこない。
それでもこっそり海外のドラマや映画を傍受し、海外のファッションを楽しむおしゃれ好きの人たちがいた。
フォーリアもその一人だ。
しかし、海外のおしゃれな洋服を手に入れるのは、フォーリアのような一般庶民には無理である。
輸入したり知り合いから送ってもらったりしたことが当局に発覚すれば、最悪の場合没収、それを免れても高額の関税(+袖の下)を払わなければならない。
だが、当たり前だが拾った「ゴミ」には税金がかからない。
きっかけはある嵐の翌日、たまたま誰かが拾ったゴミ袋の中から、古着が出てきたことだ。
フォーリアの国を流れる川の上流には、豊かな自由経済の国がある。
そこで誰かが捨てた古着の袋が、川に押し流され、嵐で堆積した落ち葉の堰に堰き止められていたのだ。
以後、フォーリアの国の「ファッショニスタ」たちは、大雨が降ると川に「収穫」を探しに行くようになった。
上流の国に住む「ファッショニスタ」たちは、その噂を聞きつけた。
同じファッションを好む者同士、なんとかしてあげたい。
そこで、みんなわざと「ゴミ」を流すようになった。
もう着なくなったハイブランドのお洋服や、前シーズンのデザイナーもののドレス。
靴やバッグ、アクセサリーなどを「捨てる」人もいた。
中には、新品同様の物が「捨てられる」こともあった。
もちろん中身が濡れないように、ゴミ袋は何重にも重ね、川に流す。
フォーリアたちの方も、あえて「堰」を強化して、「ゴミ」が流されてくるのを待った。
そして、嵐の翌日には、「ゴミ」を拾いに行く。(ちゃんと堰は崩しておくことも忘れない。)
フォーリアたちは、名前も知らない隣の国の同好の士に感謝した。
いつかこの国が自由に開放され、この服を着て彼女たちに会いに行ける日を夢見ながら。