女は忙しい毎日を送っていた。
本当は自然や花、植物や動物が好きな女だが、あまり余裕もなく、毎朝暗いうちに家を出て仕事に行き、夜は暗くなってから戻ってくる。
週末は、金曜日に職場から単身赴任をしている夫のもとに直行し、翌週はそのまま出勤する。
そんな生活をしばらく続けていた。
さて、ようやく夫も単身赴任から帰ってきて、少し週末に余裕ができた女。
今日はお花屋さんでも行って、お花かハーブの苗でも買おうかしら。
土曜日の朝、久々に朝ゆっくり寝ていられた女は、そんなことを思いながらいつものルーティーンをこなそうと窓を開け、軽くがっかりした
どうしてだろうか。
*単身赴任どうこうはともかく、メインとなる部分は実話です。そんなことあるの?と思われるかもしれませんが、まあ実話です。
*百人一首 その二十九【こころあてに をらばやをらむ はつしもの おきまどはせる しらぎくのはな】からのinspireです。
転載元: 「dream of gardens in the desert sand」 作者: gattabianca (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/7268
忙しい女は、朝まだ暗いうちにバタバタと家を出ていく。
ただ、ベランダのプランターのハーブにだけは水をやっていかなければいけない。
ベランダに出て、機械的に水をやって、それからせわしなく出かけるのだ。
それがルーティーンだった。
明るい時間に家にいることがない女は、ほとんどその植物の姿を目視すことはなかった。
まあ丈夫なハーブだから問題がないだろう。
そう思っていた。
しかし、久々ゆっくりできた週末、カーテンを開けた女の目に飛び込んできたものは、プランターに青々と茂る雑草だった。
いつの間にかハーブは枯れ、雑草に凌駕されてしまったらしい。
私は、この数週間雑草に水をやっていたのか。
女は軽く落胆した。