壊れた時計

カメオが現在の時間を確認すると、0:10の表示で止まってしまっていた。

0:10は現在の時刻と異なり、その日カメオは彼女とのデートに行くことができなかったのだが、カメオは0:10で止まっているままにしていたのだという。

一体どうして？

要約
爆弾の現在の残り時間が「0:10」の表示で止まったから。
また時間を進める人はいないでしょう。
　
解説
人の混み合う地下鉄にて、爆弾が仕掛けられたとの情報が入った。
爆発物処理班のカメオは、デートの予定を押し退け、現場へと向かった。
現場には、紙袋に入った不審物が置いてあり、中には爆弾のようなものが入っている。
爆弾のデジタル盤では、「10:15」「10:14」…とカウントダウンを刻んでいた。
早速解除に取り掛かり、順調に爆弾の仕掛けを解除していくカメオ。
ところが、残り「1:00」のところで、最後の仕掛けである赤と青の線を切る2択の仕掛けが残されていた。情報も何もない完全に運の勝負である。
「0:25」「0:24」残り時間はどんどん減っていく。
残り10秒。目をぎゅっとつぶると、意を決して赤の線を切った。
爆発に怯えるカメオ。10秒、15秒、爆発は…起こらない。そっと目を開けると、目の前には「0:10」の残り時間で止まっているデジタル盤があった。
数秒その表示を見つめると、安心したように笑ったのだった。