「5!4!3!2!1! ・・・ハッピーニューイヤー!」
X市の広場に集まった大勢の人達。
その広場の前にある時計会社が記念事業として自社のビルに設置した巨大な時計。
それを目的にX市の人々は新年のカウントダウンの際にこの広場に集まってくる。
この時計はいわゆるからくり時計ではなく、単純に時間を伝えるだけのシンプルな時計なのだが、
パーツパーツにダイヤを使っていたり、台座に細かい彫り物がしてあったりと意匠が凝らされている。
さてカウントダウンが終わり、お互いに「あけましておめでとう」などと新年の挨拶を一通り終えた後、
多くの人々は一様にビルの上のこの時計を眺める。
約5分間、ただ動いているだけの時計を眺めるのだ。
一体なぜだろうか?
転載元: 「1961 ANNIV.」 作者: ダニー (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/701
ある時計会社が1961年を記念して作ったのが、この巨大砂時計である。
1961という数字はひっくり返しても1961。
ひっくり返して使用する砂時計にぴったりの年ということで、遊び心を持った社長が
自社の宣伝も兼ねて制作したものだった。
砂時計用の砂にはダイヤが混ざっており、日の光を浴びて時折キラリと輝く。
また砂時計を支える台座も日本の職人の手わざによって大層立派な彫り物が施されている。
刻む時間の周期は一年。
一年かけて砂が下へ下へと落ち、そして積もっていく。
なのでこの砂時計の見所は何と言っても一年の終わり。
新年のカウントダウンに合わせて砂時計の最後の一粒が落ちていくのを
X市の人々は固唾を飲んで見守るのだ。
そして砂時計はまた新たな一年を刻む為にひっくり返される。
一年に一度だけ動く瞬間もこの巨大砂時計の見所の一つ。
ゆっくりと5分間の時間をかけてひっくり返される。
この動作の時間も加味されて、この砂時計は一年の時を狂いもなく伝えている。
これを制作した職人達の技術に、人々は感嘆の念を禁じえない。
この5分間の動作を見ずに帰る人はほとんどいないのだ。