「ああ、金貨が落ちている」
少年は、かがんで手を伸ばし、拾った。
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「ああ、金貨が落ちている」
少年は、かがんで手を伸ばし、拾おうとしたが、あることにはっと気付き、拾えなかった。
そして、金貨の輝きに死の恐怖を感じた。
どういうこと?
*この問題は、名無し編集者さんの過去問オマージュです。
転載元: 「the boy with the cold hard cash」 作者: gattabianca (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/6951
少年は、貧しい暮らしをしていた。
「ああ、あれは金貨じゃないか?」
路上で目に止まったその輝きに、貧しい少年は飛びついた。
しかし、それは金貨ではなく、地雷の一部だった。
卑劣極まりないことに、地雷というものは、子供にとって魅力的なものの姿を、あえて装うことがあるのだ。
幸いにも少年は一命を取り留めたが、大きな怪我を負い、両腕を失うこととなった。
それから数年後。
リハビリの甲斐あって、少年は普通に外出できるようになり、もはや自分が義手であることの違和感もなくなりつつあった。
少年の両腕を奪う原因となった内戦も概ね収束し、地雷は平和維持軍の支援で撤去された。
そんなある日、少年は道端で光る物を見つけた。
「ああ、金貨が落ちている。」
思わず手を伸ばしたくなったが、はっと気づいた。
この手を伸ばして拾うことはできないということに。
そして、考えてみれば、その輝きこそが自分の腕を奪ったのだ。
今度手を伸ばしたら今度は命を失うかもしれない。
少年はそう思い、恐怖を感じたのである。
たとえ地雷が世の中から全てなくなったとしても、少年の心から恐怖は消えない。