おいまじか…もうみんな出発しちまったよ。
どうしよう、終わっちまうよ…俺、クビ…?
*この問題は亀夫君です。YES/NOで答える以外の質問もできます。
*この問題は、2020年10月〜の「ますか?」のお題と、「ヘラクレスの12の難行」を掛け合わせた、連作「エルコーレビアンカの12の冒険」の1問です。
この問題のテーマは、【終わり vs アルカディアの鹿】です。
転載元: 「didn't know I was lost【遅れてきたHBC】」 作者: gattabianca (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/6822
男はサンタクロースの一人。
寝坊してもう真夜中を過ぎてしまったが、時差の関係でアメリカ西海岸や大洋州の一部であればまだ間に合うので、上司サンタに頼んでそちらにシフト変更してもらえば、クビにならずにプレゼントの配達に行かれる。
*漠然と仕事のことを聞かれても、「大っぴらにはできない」「まあ指定された物をこっそり運ぶお仕事、とでも言おうか」などとごまかします。
サンタだと指摘されたら初めて認める、という設定です。
だって内緒のお仕事ですもの。
これまでブラック企業でばかり働いてきた俺。
自分も周りも幸せになれるような仕事に就きたい。その一心で俺は、狭き門をくぐって、ようやくサンタになれた。
最初4年間は事務サンタや調査サンタとして裏方業務に従事していた。
いや、それも大事な仕事なんだが、やっぱり花形と言ったら配達サンタだろう。
5年目の今年にして、ようやくロシア西部・コーカサスエリアの担当に任命された。
そのために、ロシア語も頑張って勉強したぐらいだ。
でも、あまりに嬉しくて飲んだくれてしまった俺は、その日寝坊してしまった。
なんてこった。フィンランドのオフィスに出勤した時には、もう24日が終わっていた。
当然だが、コーカサス方面シフトの同僚はみんな出発していた。俺は恐る恐る上司に謝った。
「すみません!寝坊しちゃって!クビですか、俺?」
「いや、気にするな。よくあることだ。君の分は早めに来てた他のサンタに行ってもらったから大丈夫だ。」
「もう配達課から異動していただいても…」
「まだ夜中になってないタイムゾーンもたくさんある。フレンチポリネシア方面なら一番余裕あるな。そんな防寒対策してきたのに、南国エリアで申し訳ないが。フランス語の挨拶ぐらいはいけるか?」
「Bien sûr!!大学でやってたから問題ないです。」
「じゃあこれから用意してくれ。プレゼントはストレージにあるから、あとはリーダーのドミニックの指示に従えばいい。」
…ああ、やっぱりサンタはホワイト企業だ。この仕事に就けて、本当に良かった。
やっぱりみんなに夢を与えるには、こうじゃなくっちゃ。