水平図書館では、希望する利用者に「読書カード」を配っている。
借りた本の冊数に応じてカードにスタンプが押され、一定冊数分読み終わると、図書館オリジナルのしおりやブックカバーなどのささやかな記念品がもらえる仕組みで、子供達を中心に一定の人気がある企画だ。
ところが、ある時「読書カード」の配布が停止された。
その理由は未配布のカードそのものにあったのだが、特にカードを作り直すことはなく、翌月には再び配布が始まった。
さて、配布が停止された理由とは、具体的にどういうものだったのか?
*名無し編集者さん②のオマージュです。
転載元: 「【カードますか?オマージュ】say the bells of St. Clements」 作者: gattabianca (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/6774
「砂田あやめです。カード終わっちゃったので、新しいのくださ〜い」
「ちょっと待ってね…主任、牛さんカード、もうないんですか?」
「ああ、先週で在庫切れだ。」
水平図書館で配っている読書カードは、「十二支のイラスト入り」だ。
年賀状を出す人も減っている中、子供たちに日本文化に親しんでもらいたくて始めたものだが、可愛いのでなかなか人気がある。
同じイラストがついた、しおりやブックカバーも大人気だ。
しかし、一つ困った点があって、カードは単年で使い切らないといけない。
そして、図書館とはいえお役所なので、大量に余らせるわけにもいかないのだ。
なので、毎年、大体このぐらいだろうと予想を立てて発注をかけている。
ところが、今年は学校が休校になって家で過ごす子供たちが増えたせいか、本の貸し出しが例年以上に多かった。
それに伴い、読書カードの配布数も多かったのである。
12月も半ば、16日にして、早くも今年の「牛さんカード」が尽きてしまった。
来年の「虎さんカード」ならもう届いているのだが、1月早々に来て、誰よりも先に新しいカードを手にしたいと思っている子もいる(*毎年そういう子が何人かはいるのだ)中で、フライングで渡してしまうというのも、あまりよろしくない。
「ごめんね。牛さんカードは無くなってしまったの。今日のあやめちゃんの分はちゃんとお姉さん覚えておくから、来月来た時にまとめて押してあげるね?」
「わかった!1月になったら新しい絵なんだよね!」
「そうだよ〜今度はなんの動物さんかな?お父さんやお母さんに聞いてみてね!」
来年用の柄はまだ渡せないから。